事業承継における少数株主の問題点

事業承継において、先代経営者から後継者に対して株式を贈与する場合、贈与税を払うことができないことを理由に、全ての株式を承継せず兄弟などに分散させることがあります。

もちろんこれは効果的な面もありますが、後継者にとっては少数株主のいる会社を引き継ぐことになります。少数株主がいることによって次のような懸念が生じます。

1.経営の意思決定が困難になる場合がある

株式会社において重要な意思決定をする際、株主総会の普通決議(会社法309条1項)や特別決議(同条2項)が求められる場合があります。後継者が議決権の過半数又は2/3以上を有していれば問題になるケースは少ないと思われますが、そうでない場合には後継者以外の株主の賛成が必要です。意見の食い違いがある場合には、少数株主を説得しないといけません。

2.会計帳簿等の閲覧を請求される場合がある

総株主の議決権の100分の3以上又は発行済株式の100分の3以上を有する株主は、会計帳簿等の閲覧や謄写(コピー)をすることを請求することができます(会社法433条1項)。会計帳簿とは総勘定元帳、現金出納帳、仕訳帳等が挙げられ、基本的には請求された場合に拒むことはできません。

3.株式の買取りを求められる場合がある

後継者と少数株主との間で争いが生じた結果、少数株主から高額で株式の買取りを求められる可能性があります。

事業承継における株式の承継の際、納税額の軽減や税務リスクに意識が向きがちですが、少数株主との関係性等も踏まえ、上述のような事項に配慮しながら株式の承継をすることが重要だと考えます。

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