社宅制度を導入する場合に確認しておきたい税務上の論点
税理士・公認会計士の伊勢です。ご覧いただきありがとうございます。
弊所は主に以下のような会社様、又は以下を目指される会社様を対象にサービスをご提供させていただいています。
・年商1億円以上の会社
・上場子会社及び上場準備会社
・M&Aにより規模の拡大を目指す会社
会社の成長とともに、従業員の手取りを増やし、従業員の定着や採用にいかすために、社宅制度を導入される企業がありますが、その際に検討しておいた方がいい論点のひとつに「消費税」が挙げられます。
社宅制度を導入する場合、従業員から「社宅利用料」を受領します。
無償だと賃貸料相当額が給与として課税されてしまうため、一定額は従業員から受領するのが一般的です。詳しくは以下をご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
社宅利用料は、消費税法上「非課税」
注意すべきは、この社宅利用料の受領が消費税法上「非課税売上げ」に該当する点です(消費税法別表第二)。
消費税の計算をする上で、支払った消費税の全額を控除できるのは、以下に該当する事業者のみです(消費税法30条2項)。
当期の課税売上高が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上
つまり、課税売上高が5億円超、又は、課税売上割合が95%未満となると、支払った消費税の一部のみの控除しかできなくなります。課税売上割合とは概ね次のような算式で求められます。

控除できる金額の算定方法は、個別対応方式又は一括比例配分方式という方法によるのですが、詳しくは以下をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6401.htm
社宅利用料が増え、非課税売上げが増加すると課税売上割合が低下します。課税売上割合が低下するほど控除できる消費税額が減少します。
また、課税売上割合が低下し95%未満となった場合で、個別対応方式による場合には、消費税区分の登録方法を課税売上対応、非課税売上対応及び共通対応に分けて登録する必要があり、事務処理が煩雑になります。
執筆時点では預金金利が上昇しており、受取利息が増加していることも踏まえると、社宅制度を導入する際には確認しておいた方がいい論点といえます。
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