【個人住民税】入退社時における手続き

池袋の税理士・公認会計士の伊勢です。ご覧いただきありがとうございます。

毎年この時期になると、役員・従業員がお住まいの市区町村から、「個人住民税 特別徴収税額の決定通知書(以下「税額通知」)」が送付されてくるかと思います。

成長企業の場合、毎月のように入社する方や退社する方がいるため、その役員・従業員に関する個人住民税の切替えの手続きが煩雑かと思います。

ミスを防ぐためには、入社時及び退社時の業務フローを整備しておくことが重要ですが、基本的には以下のように対応していただくことになります。社保等の業務フローと併せて整備されることをおすすめいたします。

前提:個人住民税の課税の仕組み

個人住民税は、前年1月1日から前年12月31日までの所得に対して課税され、本年6月から翌年5月までにかけて徴収される仕組みとなっています。

前年12月頃に、前年1月1日から前年12月31日までの所得を会社が計算し、本年1月末までに「給与支払報告書」を各市区町村に提出します(地方税法第317条の6)。その後、本年5月頃までに各市区町村から会社に税額通知が届き(同法第321条の4第2項)、本年6月から翌年5月まで、役員や従業員の給与から個人住民税を会社が徴収し、従業員等に代わって、従業員等の住む各市区町村に各給与支払日の翌月10日までに会社が納付します(同法第321条の4)。

納税の頻度について、従業員等が常時10人未満の場合には、納税を半年に1回とする「納期の特例」という制度があります(地方税法第321条の5の2)。

入社時

・前年に所得のない社員(新卒等)の場合
この場合は、入社時の個人住民税に係る手続きは不要です。

・前職で「特別徴収(給与天引き)」していた場合

①前職で一括徴収されておらず、特別徴収を継続する場合

その従業員等が前職で特別徴収だった場合、前職の会社が「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(以下、異動届)」を作成しているはずなので、その会社又は従業員等から異動届を受領します。

受領した異動届において「特別徴収継続」を選択した上で、その市区町村に提出します。提出後、市区町村から税額通知が送付されてくるので、記載された金額を給与から控除し、毎月納付します。

前職の会社又は従業員等から異動届の提出がなかった場合は、多くの場合、「特別徴収切替届出書(以下、切替届)の提出が求められるかと思いますが、対応方法について、その従業員が居住する市区町村に問い合せてみてください(用紙は基本的には各市区町村のHPからダウンロードします。また、市区町村によっては「特別徴収切替申請書」という名称である場合もあります。)。

②前職で一括徴収されていた場合

翌年度分から特別徴収するために、従業員が居住する市区町村に切替届を提出します。

・前職で「普通徴収(自分で納税)」していた場合
従業員が普通徴収で納付している場合でも、原則として特別徴収に切り替える必要があります。従業員が居住する市区町村の役所に切替届を提出します。

入社前に個人住民税を一括納付している場合も、翌年度分から特別徴収するために、従業員が居住する市区町村の役所に切替届を提出します。なお、普通徴収の納付書の期限が過ぎてしまっているものは特別徴収に切り替えることができません。

退職時

・退職後の転職先が決まっている場合
退職後の転職先が既に決まっており、給与の支払いが途絶える月が発生しない場合には、個人住民税の特別徴収を継続することができます。

退職前の勤務先は、異動届の「特別徴収継続」欄にチェックを入れ、必要事項を記載したうえで、当該書類を退職者に渡す必要があります。退職者がこれを転職先に提出することにより、転職先においても特別徴収を継続することが可能となります。

なお、異動届は、基本的に退職者が本年1月1日時点に居住していた市区町村のホームページよりダウンロードが可能です。

・退職後の転職先が決まっていない場合
退職時点で次の就職先が未定の場合、異動届を退職者の本年1月1日時点の住所地である市区町村へ提出します。

また、退職の時期により個人住民税の納付方法が異なります。具体的には、以下の3区分に分類され、それぞれ取扱いが異なります。

① 退職時期が本年6~12月
② 退職時期が翌年1~4月
③ 退職時期が翌年5月

退職後は特別徴収を継続することができないため、原則として普通徴収へ切り替わることになりますが、退職の時期によっては「一括徴収」の取扱いが生じることもあります。

なお、一括徴収を行う場合、控除額が支給額を上回り、給与の振込額がマイナスとなる可能性があるため、事前に確認するようにしましょう。

① 退職時期が6月~12月
本年6月から12月に退職する場合、取り得る方法は以下の2つです。

・普通徴収への切替え
・退職者が希望する場合は一括徴収

原則として、普通徴収へ移行することになりますが、退職者が希望する場合には、最後の給与等から一括で個人住民税を徴収することも可能です。

普通徴収とした場合、退職者は翌年5月までの個人住民税を自ら納付する必要があります。

② 退職時期が1月~4月
(翌年の)1月から4月に退職する場合は、5月分までの個人住民税を会社が一括徴収します。

ただし、最後の給与等の金額が個人住民税の一括徴収額を下回る場合には、普通徴収への切替えも可能です。

③ 退職時期が5月
(翌年の)5月に退職する場合は、特段の手続きは不要であり、通常通り1か月分の個人住民税を徴収して納付します。

※ 執筆時点の法令に基づいて記載している点にご留意いただければと思います。

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