成長企業の役員の確定申告等|必要となる代表的なケース

池袋の税理士・公認会計士の伊勢です。ご覧いただきありがとうございます。

順調に売上高や利益を成長させている企業では、役員の報酬水準や株式の保有状況が一般的な会社員とは異なります。そのため、確定申告や関連書類の提出義務が生じやすく、お早めに確認や準備することが重要です。ここでは、成長企業の役員に確定申告等が必要になる代表的なケースをご紹介します。

1.役員報酬が2,000万円を超える場合

給与収入が2,000万円を超える場合、年末調整の対象外となり、確定申告が必須となります(所得税法121条1項、190条1項)。会社で源泉徴収が行われていても、それだけでは手続きは完結しません。

役員は、ふるさと納税による寄付金控除や生命保険料控除等を適用する方も多いので、お早めに資料の整理をしておくことをおすすめいたします。

2.自社株式の譲渡や配当金がある場合

成長企業では、資本政策の一環として、役員が自社の株式を譲渡したり、ストックオプションの付与を受けたりすることがあります。個人で保有する自社の株式を売却し、利益(譲渡所得)が発生した場合は、原則として確定申告が必要です(所得税法33条、租税特別措置法37条の10)。

また、会社から配当金を受け取った場合も、原則として確定申告の対象となります(所得税法24条)。「源泉徴収されているから問題ない」と判断するのは適切ではありません。

3.保有株式が1億円超の場合 ― 財産債務調書

その年の12月31日時点で、保有する有価証券や不動産などの財産の合計額が一定額を超える場合、財産や負債をまとめた「財産債務調書」の提出義務が生じます(国外送金等調書法6条の2)。

所得が2,000万円を越え、保有株式の評価額が1億円を超える場合には、提出対象となる可能性が高いため注意が必要です。

4.おわりに

所得税・贈与税の申告期限は、翌年3月15日で(所得税法121条1項)、財産債務調書の提出期限は翌年6月30日です(国外送金等調書法6条の2)。

申告・提出期限に違いがありますが、資料の準備にあまり時間を要さないようであれば、財産債務調書は、確定申告と同時に提出するのが効率的です。

成長企業の役員の方は、収入や株式等の財産が複雑化しやすく、申告漏れが生じやすいといえます。資本政策や報酬設計の段階から、役員個人の税務についても整理・準備しておくことで、税務リスクを軽減させることができます。

※ 執筆時点の法令に基づいて記載していますのでご留意いただければと思います。

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